作品紹介
藤慶アートの広重
広重という人はしゃきしゃきの江戸っ子で「人付き合いがよく、相手かまわぬ話好きで、気障や容態ぶるのを嫌い、朝湯が好きで酒をたしなみ、行楽を好み、人にふるまうに惜しみなく、上品で温和な人柄宵越しのお金を持たない無欲の人であった」とのことです。
奥さんと一人の娘さんと仲良く暮らしていたそうで、多くの人から愛されていました。
東都八景について
「東都」とは江戸のこと。版元・藤彦(藤慶と同族)で全8枚の名所絵シリーズで、扇形の中に草書体による狂歌が描かれています。狂歌は風景の讃歌となっています。また、扇面という左右外側へ広がる構図の中心に水平線ないし地平線を設定しているのが特徴です。このシリーズは一般にはほとんど知られていませんが、どの作品も「東海道五十三次」、「名所江戸百景」の傑作と比べても全く遜色がない傑作揃いであるといえます。
水野浚治の切り絵
藤岡屋の子孫、父、水野浚治は大正4年(1915)、東京神田に生まれました。若いころから、英語に興味を持ち外交官になることを志していたようです。1991年に「切り絵で見た日本」という画集を出版した時、海外に日本の美、切り絵の文化を紹介することを自分の使命と考え、自ら英文で解説を書きました。ちなみに戦後いち早く通訳ガイドの資格をとりました。その後、国税専門官試験に合格し、東京国税局に勤務し「在外日本人、外国人、外国法人の所得税(法人税)とその実務」をいう本を1996年に出版、注目を集めました。公務員退職後は税理士資格をとり、65歳より切り絵の製作を独学で始めました。2006年90歳で亡くなるまで、約200点ほどの作品を残しました。
「切り絵で見た日本」という画集を見ると、水野浚治が国際人であり、日本の文化を海外に英語で伝えようとしていたことがわかります。息子である博志は父の作品を展示するため、糸島市末永に「伊都きりえギャラリー」を開き、その作品のプロデュースに努めてきました。その作品は海外で高く評価され、平等院、龍安寺、京都御所、大徳寺大仙院などでオフィシャルポストカートになりました。
松浦三千世の草絵
展示している草絵の作者、松浦三千世は明治34年(1901)、東京日本橋にあった水野書店(浮世絵版元「藤岡屋」)で生まれました。明治の女性としての生き方と教養を身につけ、松浦良三(ピップフジモト会長)と結婚、第二次大戦前後の混乱期のなか、夫を支えるとともに4人の子供を育てました。その一人松浦康雄氏は株式会社コンビ会長として活躍されました。
三千世が草絵を始めたのは55歳からで、はじめは草絵の大御所、妣田圭子氏に師事しましたが、次第に独自の草絵の世界を見つけていきました。その作品は様式にとらわれることなく、アイデアがあり、独特の色使いが感じられるのですが、それは教えてもらえたものではなく、天性(藤岡屋のDNA)としかいいようがないものです。まさに元気の出る絵です。2000年に99歳で天寿を全うしましたが、亡くなる直前まで家族、親戚に毛筆のいろは文字の賀状を書くなど、本当に元気で偉大な人でした。
二宮金次郎直筆書
二宮金次郎は薪を背負う勤勉な少年として有名ですが、実際には偉大な経営コンサルタントで江戸時代の末期、600ほどの荒廃した村の復興事業に携わりました。ここにある掛け軸は二宮金次郎直筆の書で、「夫(そ)れ元火有りて后(のち)油有るにあらず、油有るに依って火生ず、故に火消えて后(のち)油盡きる者にあらず、油盡きて火消える者なり」と書いています。この書の趣旨は「人材があって組織ができるのであって、組織があって人材ができるものではない、人材が枯渇した時には組織は崩壊する」ということを述べています。
広田弘毅書「興亜」
城山三郎の「落日燃ゆ」のヒーロー広田弘毅氏(福岡市出身)の直筆です。歴代の首相の中でも最も偉大な人物であったようです。書はまさに人を表します。
販売商品
水野浚治著「切り絵で見た日本」レゾナンス社
水野浚治の画集「切り絵で見た日本」は、日本の美を切り絵によって表現し、日本語と英語で解説を加えた本です。
この本は特に海外で高く評価され、アメリカの国会図書館で原本だけでなく、原本の元となるポジティブフィルムまで永久保存となりました。
日本でも外務省を通じて41の大使館・領事館付きの図書館に配られ、日本文化を紹介する本として用いられています。息子である博志はこの本を公立図書館716館、大学図書館169館に寄贈しました。日本の文化、切り絵を広く知ってもらいたかったからです。
1つ1つの切り絵の作品は切り絵のイメージを出すため特殊印刷(黒版を重ね)をしています。
販売価格 5,500円
歌川広重「東都八景」絵葉書セット
広重はいくつものシリーズものの風景画を描き、中でも「東海道五十三次」と「江戸百景」は傑作として有名です。この藤彦版「東都八景」は「東海道五十三次」の後に出版されたシリーズで、あまりよく知られていませんが大変な傑作です。その理由はこれが広重の選んだ江戸のベスト八景になっており、その中に広重が得意とした雨、雪、月が描かれさらに風景を愛でる狂歌が入ってるからです。扇の形に風景をまとめているのも印象的です。
販売価格 1,000円
水野浚治「創作切り絵」京都シリーズ絵葉書セット
水野浚治の切り絵は日本の美をテーマにしていますが、京都はその中心にあります。「平等院」「金閣寺」「龍安寺」「京都御所」「修学院離宮」「大徳寺大仙院」などが含まれ、オフィシャルポストカードとして広く知られています。フォトスタンドに入れて鑑賞できます。
販売価格 1,000円